息子が学校から帰ってくるなり、「落とし物を交
番に届けてきたよ。」と息子が言った。
私は「落とし物を拾ったの?」と聞くと、「うん、
1円を拾ったよ。」と答えた。
その直後、息子が落とし物を届けた交番から電話
が掛かってきた。
拾い主が未成年なので、保護者が届け出をしない
といけないとの連絡だった。息子を連れ、交番へ
向かった。
交番に着くと警官から「よいお子さんですね」と
ありがたい言葉。息子に「よく届けてくれたね!
」と声を掛けてくれた。
1円、たかが1円、されど1円。その1円玉は酷
く汚れて変形していた。その1円を見て、息子が
言った。「落とした人、見つかるといいな」。
何だか、その言葉に胸が熱くなり、涙が流れそう
になった。涙をこらえながら書類に記入した。
3カ月後に落とし主が現れなければ、息子に権利
がいくと説明を受けた。息子は「1円足りなくて
も、買い物できないから、落とした人は困ってな
いかな?」と心配していた。
この純粋な気持ちをいつまでも持ち続けてほしい
と私は願った。
投稿者 静岡県・女性