画像にあるゲーム機ご存知ですか?名前は「ピピ
ンアットマーク」。ゲーム好きの中では「あっ、
聞いたことある!」って方もいるかと思います。
バンダイとAppleの共同開発で生まれたゲーム機
で家庭用ゲーム機でありながらMacと互換性を
持たせたことが最大のウリで、専用ゲームが遊べ
るのはもちろん、Mac向けのゲームが遊べたりソ
フトが利用できたそうです。また、インターネッ
ト接続が可能であるという点もポイントだった。
まさに時代を先取りした奇跡の一台のはずでした。
しかし、当時はWindows95時代のまさに
幕開け。Mac互換はまったくウリにはならなか
った。餅は餅屋、ゲームはゲーム機でやるものだ
し、インターネットはパソコンでやるものであり、
なおかつ未知な部分が圧倒的に多いものだった。
パソコンのようでもあり、ゲーム機のようでもあ
るピピンアットマークは、どっちつかずの一台で
しかありませんでした。
家庭用ゲーム機の市場では、ちょうどその頃セガ
サターン、PlayStation、Nintendo64が三つ巴
の戦いを繰り広げていた。そこに投入された、ピ
ピンアットマーク。そんなどっちつかずのハード
で競争が激化するはずもなかったそうだ。さらに、
ピピンアットマークの販売方法は、通常の流通で
はなく、電話注文または加盟店でのみ購入できる
スタイルだった。その価格も大いに問題だった。
標準でインターネット通信を行うためのモデムを
搭載していたこともあり、実に6万4800円と
ゲーム機としては致命的に高額だった。
また、魅力的なゲームタイトルがなかったという
根本的な問題もあった。「ドラゴンボール」など
人気のバンダイ版権を利用したものも投入された
が、それはゲームではなく年賀状でも作るのか?
といったイラストソフトだった…。また、「ガン
ダム」のゲームも発売されたが、なぜかキャラク
ターは外国人俳優を使った実写。赤い彗星シャア
にいたっては、“アゴい彗星シャア”と呼ばれるほ
どに顔はふっくら、アゴが特徴的な似ても似つか
ぬ顔をしており、版権の無駄遣いとなってしまっ
た感が否めない。
結局、時代を先取りしすぎてしまったこと、高額
すぎる販売価格、悲しいくらいに魅力なきゲーム
など様々な要因が重なり、2年間でたったの4万
2000台しか売れなかった。「全世界で」だ。
世界一売れなかったゲーム機として不名誉な称号
を欲しいままにしたピピンアットマークは、ゲー
ム市場をたった2年で撤退したそうです。