父親の転勤で大阪から新潟に引っ越した。
新潟で高校の入学が決まった後、父親の転勤が解け両親だけ
大阪に戻った。
私は下宿というかたちで新潟に残り、一人暮らし。
高校という新しい環境の中、友達も少なく、授業にも身が
入らず、ひとりの生活が上手くいかなくて気持ちが落ち込んだ
時期があった。
なんとなく、親の声が聞きたくなり、実家に用もなく電話した。
といっても、親に気を使わすのは嫌だし弱音吐くのは恥ずかしく
当り障りのない話をした。
しかし、何気ない会話の中で、ついポロっときてしまった。
もう帰りたいなー、って感じで。
「ヤバっ!」って思いつつも必死に平静を装ったが、感づかれた
らしく、「泣いてんの?」って言われた。
私は当然、「泣いてないよ!」って笑って誤魔化して、丁度良い
頃合いを見て電話を切った。
その数日後、母親から手紙が一通届いた。
「あんたが泣いていても私は行ってあげることができません。
だからあなたが泣いていると辛いよ。頑張れ!」 と。
ありきたりな文章と思いつつも思わず涙が出た。と同時にこの
親の子で良かった、って思った。
「私はまだ弱く、頼りない人間だけど、いつか恩返ししたい。
だからお願いします。その日まで元気でいてくださいね、
お母さん!」と心で願った。
(大阪府・女性)